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売家・売土地の泉

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不動産の賃貸と税金

「人から受けた恩は、その人には返せないのが世の中の常らしい」
伊集院静

所得税

 アパートや駐車場などを賃貸して収入を得るようになると、その翌年から、他の所得と合算して(総合課税)所得税を納める必要が出てきます。 

 

【不動産所得の計算方法】

 不動産所得の金額=収入金額-必要経費

・収入金額

 不動産所得の収入金額は、賃貸料、駐車料、更新料、共益費、その他賃貸に伴う雑収入です。

家賃を滞納している人がいても、原則として受け取るはずだった家賃を収入として計上しなければなりません。

・必要経費

 公租公課、管理会社に払う管理手数料、修繕費、減価償却費、損害保険料、立退料などです。

次に、不動産所得から社会保険料控除や生命保険料控除、医療費控除など各種所得控除を差し引きます。

 

〇所得税額

 上記で算出した課税所得をもとに、以下の計算式で所得税の金額を求めます。

 所得税額=課税所得×税率-課税控除額

 

【不動産所得の損益通算】

 不動産所得は、給与所得と合算して確定申告をすることができます。

不動産投資で赤字が出た場合に、その赤字分が給与書所得と相殺され、納めすぎている源泉税が還付されます。

 

 ➡所得税の税率(国税庁)

 

住民税

 住民税は、都道府県や市区町村が行政サービスを住民に提供するために徴収している税金です。

「何が起きても他人のせいにしないことが大事」中村仁一

■個人事業税

 個人で不動産を運用することが事業的になった場合には、個人事業税を納めることになります。

個人事業税は地方税なので、県に申告、納税します。

事業所得の計算方法は所得税と基本的に同じため、原則として所得税の所得金額をそのまま使います。

1年間あたり、290万円の事業主控除額が受けられます。

事業所得の基準となる290万円は、青色申告特別控除を差し引く前の金額です。

事業税の申告期限は所得税と同じく、翌年3月15日です。

ただし、所得税の確定申告や住民税の申告を県税事務所に申告している場合には、申告書に記載した必要事項に応じて地方自治体が計算し、納税書が送られてくるので、事業主自身が計算する必要はありません。

 ➡個人事業税(山口県)

 

消費税

 課税売上高が1,000万円を超えた場合は、その翌々年から消費税が課税されますが、住居用物件のみを賃貸する場合は、消費税は非課税です。

ただし、賃貸期間が1か月に満たない場合や、ウィークリーマンション、民泊など旅館業に該当する者は課税されます。

 次のようなケースでは消費税の課税対象になります。

①店舗や事務所、貸倉庫などの住居としてではない賃貸料、共益費、敷金、管理費などは非課税です。

②住宅と事業用施設が併設されている建物を一括して賃貸する場合には、住宅として貸し付けた部分のみが非課税となります。

③駐車場は一般的には課税対象ですが、住宅に付随している場合には非課税です。

④仲介手数料

⑤更新手数料

 

消費税課税業者になった場合には、以下の3点について注意が必要です。

 

「青春とは心の若さである。信念と希望にあふれ、勇気にみちて、日に新たな活動を続ける限り、青春は永遠にその人のものである」松下幸之助

固定資産税・都市計画税

 賃貸用の不動産かどうかにかかわらず、土地・建物などの不動産を所有している限り、固定資産税・都市計画税は納めます。

 

家賃収入の申告方法

 給与所得以外の不動産所得などの合計が年間20万円を超える場合は、その翌年に確定申告をする義務が生じます。

不動産投資の収入は、家賃収入だけでなく、管理費や共益費、礼金、更新料なども含まれます。

船舶、航空機、地上権の貸し付けによる賃貸料や権利金なども不動産所得になります。

不動産所得は、分離課税ではなく、給与所得などと合算して税率を決定する総合課税が適用されます。

課税対象になる不動産所得は「不動産総収入-必要経費」です。

課税所得金額は、給与所得+不動産所得-各種控除です。

所得税の税率は、所得金額によって異なります(累進課税)。 ➡国税庁

 

不動産収入で経費に計上できるもの

①税金

 固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税、収入印紙代など。

②損害保険料

 火災保険、地震保険など。

③管理委託費

 建物の管理会社に対して支払う費用です。

④修繕費

 部屋のクリーニング代や壁紙の交換、給湯器やエアコンの交換などの費用は経費として計上できます。

耐震補強やフルリノベーションなど、建物の価値を高めたり、建物の寿命を延ばすような工事費は含まれません。

 工事費用が20万円を超えたり設備投資して機能向上を図ったりした場合、修繕費ではなく「資本的支出」になり減価償却の対象です。

⑤管理費、修繕積立金

⑥仲介手数料、広告宣伝費など入居付けのための費用

⑦事業として行っている場合の経費

⑧給料賃金

⑨減価償却費

 建物の購入にかかった費用を法定耐用年数で割った金額を毎年経費として計上できます。

⑩広告費

⑪ローンの金利

 経費計上ができるのは建物のための金利は経費計上ができます。土地取得に関わる費用に対しての金利は経費計上できますが、不動産所得が赤字の場合は、損益通算の対象になりません。

融資を受けたときの手数料も経費になります。

⑫固定資産等の損失

⑬旅費交通費

 物件を管理するために電車やバス、自家用車を使って移動することもあります。公共交通機関の運賃や、自家用車のガソリン代、駐車場代、宿泊費などは経費計上できます。

⑭情報収集・勉強のための費用

 情報収集や不動産投資の勉強のための費用、セミナー代等は経費に計上することができます。

⑮司法書士や税理士への報酬

 確定申告を税理士に依頼する、不動産の登記を司法書士に依頼する、といった場合の報酬も経費になります。

⑯通信費

「一隅(いちぐう)を照らす人こそ、国の宝だ。そんな人は、どこの町にもいる」余録・毎日新聞

不動産収入で経費に計上できないもの

 不動産投資の経費に計上できるのは、不動産収入を得るための必要経費です。不動産投資ビジネスに関係のない出費は経費になりません。

①スーツや時計などのファッションアイテム

②借入金の元本

③反則金・罰金

 交通違反により科された反則金や罰金は経費として認められません。

④スポーツジムなどの会費

 個人事業主の場合は福利厚生費が認められていないので、経費に計上することはできません。ただし家族以外の従業員が会社を経営している場合は、福利厚生費として経費計上できるケースもあります。

⑤プライベートでの飲食費

⑥不動産業との関連性が低い租税あるいは公課

⑦住民税・所得税

 住民税や所得税は不動産投資をしていなくても支払わなくてはならない税金なので、経費にはできません。

個人事業税や印紙税のような不動産投資を行うことで課税される税金は経費として計上できます。

⑧資格取得費用

「どんなことも、面白がって、楽しんだもん勝ち」弘兼憲史

青色申告と白色申告

 確定申告の方法には、青色申告と白色申告の2種類があります。

青色申告で申告すると税金面で様々な特典を受けることができます。

青色申告を選択する場合には、不動産投資を始めてから減速2ヶ月以内に税務署へ届け出を出す必要があります。

青色申告には、所得金額から一定の額を控除できる「青色申告特別控除」という仕組みがあり、事業の規模に応じて10万円・55万円・65万円の控除があります。

青色申告特別控除額は55万円となりますが、これまでの要件に加えて、e-Taxによる電子申告あるいは電子帳簿保存のいずれかを行うことで、控除額65万円を受けることができます。

55万円・65万円の控除を受けたい場合には「複式簿記」での記帳が必要です。

不動産所得のうち、事業と見なされる規模は、アパートなどは10室以上、家屋については5棟以上、駐車場経営の場合は50台以上です。

白色申告は青色申告より簡単ですが、控除額は少なくなります。

 

事業的規模と認められた場合のメリット

①家族や親族への給与を必要経費にできる

②青色申告控除が、最大65万円認められる。

③家賃が回収できない場合、回収不能となった年分の必要経費に算入できる

④建物等を取り壊し除去した場合に全額必要経費に算入できる

⑤延納した場合の利子税を、必要経費に算入できる

 

青色申告のメリット

①青色申告特別控除を受けることができる

②損失を3年間繰り越すことができる

 不動産所得で発生した赤字分を、その発生年以後3年以内に黒字になった年の課税所得から、赤字分を繰り越して差し引き、計算することができます。

③専従者給与控除が受けられる。

 専従者給与に認められるのは、同居又は同一生計の配偶者やその他の親族(その年の12月31日現在で15歳以上)に対して支払う給与です。

青色申告では上限がないため、支払った給与を全額控除できます。

事前に税務署に「青色事業専従者に関する届出書」の提出が必要です。

 

④少額減価償却資産の特例

 取得価額30万円未満の減価償却資産については、取得した年度にその全額を必要経費に算入することができます。

個人事業主であること、又控除の上限が300万円であることなど、規定があります。

 

不動産所得の青色申告を行うための3つの条件

 

確定申告が不要なケース

①所得が38万円以下の場合

②副収入が20万円未満の場合

③会社など、勤務先で年末調整を受けている場合

④年間所得が48万円以下の事業主

⑤公的年金の受給額が400万円以下で、かつ源泉徴収を受けている場合

 

家賃収入と消費税】

 住居として使用される不動産の家賃には消費税はかかりません。しかい、オフィスなど住居として使用されていない不動産の家賃には消費税が課税されます。